1997年
銀座にある名もないカフェがストローをグリーンストローに変えた。
その半年後、日本国内の全てのスターバックスがグリーンストローを採用。
さらにその数ヵ月後、全米のスターバックスがグリーンストローに変更。
そして現在、世界中のカフェの多くがグリーンストローを使用している。
これはスターバックスのマーケティングの強さと、組織としてのしなやかさの証であると同時に、ある一人の男の影響力の強さを物語っている。
松田公太さん。
タリーズジャパン創業者
タリーズアジア創業者
クーツグリーンティ、Eggs `n Thingsの展開
ダボス会議にてYoung Global Leadersの1人に選出
サッカーとアメフトで鍛えた細く引き締まった体とよく通る声。
情熱的であり、かつ他者への思いやりを忘れない紳士。
会うまではバリバリの体育会系を想像していたけれど、全然そんなことはなかった。
人懐っこいそのくしゃくしゃの笑顔は一瞬で初めて会う人の警戒心を解くのだろう。
そんなわけで行ってきました。
松田公太さん講演会@東京大学!
なんと、途中からオイシックスの高島宏平さんとトレンダーズの経沢香保子さん(ちなみにこの方、めちゃくちゃ美人です!!)が登場!
起業家に関するセミナーとしては超豪華。。。
松田さんの話を中心にメモっていたのでまとめます。
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幼い頃は父の仕事の関係でアフリカで暮らしていた。
その時、セネガルの海で自ら獲って食べたウニのおいしさに感動する。
見た目がグロテスクなので嫌がっていたが、母に無理やり食べさせられ、そのおいしさにはまる。
家族4人でおいしいおいしいと海辺でウニを食べていたところ、セネガル人がやってきて「何を食べているんだ!?そんなものは人間が食べるものじゃないだろ!」と馬鹿にされてしまった。
さっきまで、おいしいおいしいと食べていたものが、急にゲテモノ食いのように言われてしまう。
この経験が松田さんの初めてのカルチャーショックになったそうです。
それからは食べ物を通じて、何が文化の違いなのか見るようになっていったそうです。
また、ヨーロッパバカンス中に父からおこづかいをもらっても、チーズとチーズスライサーを買ってホテルでずっと食べているような子だったそうです。
高校時代をアメリカで過ごしますが、その時に日本食と日本アニメにアメリカ人の友人が夢中になるのを見て、回転寿司や日本アニメを海外で販売するビジネスモデルを考えます。
大学(筑波大学)卒業後、6年間銀行員として活躍。
なぜ銀行かと言うと、起業に向けて財務などの勉強がしたかったからとのこと。
その間、食に関するビジネスモデルをずーっと考え続けていた。
そんな頃、1995年にボストンで行われた友人の結婚式でスペシャリティコーヒーに出会い、そのおいしさに感動!
それまでは松田さんはコーヒーは好きではなかったそうです。
そしてこのコーヒーを日本に広げたいとの思いから、7000万円借金しタリーズジャパン1号店を銀座にオープン。
借金の半分は国民金融公庫から賄い、もう半分は自分の財産と残りは知り合いなどから集めたそうです。
パソコンも売り払い、まさに背水の陣。
失敗はできない!
だけど、松田さんはこの時こう考えていたそうです。
失敗しても借金を払うためには、家の近くのあのセブンイレブンで○○年働けば大丈夫だと。
そして、そのコンビニで自分が働いている姿をリアルに想像したそうです。
そして、「例えコンビニでバイトの生活になっても自分は、こうすればもっと弁当が売れるな、こうすればもっと売上が上がるな、と自分はきっと上を見て頑張っているな。きっとまたビジネスを志すな」と思い、起業を決めたそうです。
最悪のラインを考えるのは重要なのですが、さらに大事なのは、その最悪の状況になってもその状況に絶望せず、上を見て頑張っている自分を見つけることが大事だと言われていたことがとても心に残りました。
店は銀座に出店。近くにはマクドナルド、プロント、そして行列が出来ているスターバックス。
銀座を選んだのは通行料が多かったからだそうです。
だけど、知名度の低さからなかなかタリーズに人が入ってくれない。
多くの人がタリーズを通り過ぎ、プロントやマクドナルドに入っていく。
まるで漁師の目の前を通り過ぎる大量の魚群のように。
そこでの松田さんの行動がとっても面白かった!そしてこれはきっと商売の真髄なのかも。
1)一人サクラ
・店の前のガーデンチェアに座り、タリーズコーヒーを美味しそうに飲む
・通りをタリーズのカップを持って歩き回る。「このコーヒーおいしいなぁ!」
と言いながら。(後にこの行動が思いもよらない結果をもたらす)
・タリーズの前で「うわ!ここおいしそうなコーヒー屋があるじゃん!」と
大声で叫ぶ
・歌舞伎座から出てくる大量のお年寄りの目の前を歩き、タリーズの前で
突然止まり店内に入る。そうするとみんなぞろぞろとタリーズに入ってくる(笑)!
2)他コーヒーショップ(スターバックス)との差別化
・チラシを手書きで書き、一枚一枚情熱を込めて配る。コピー代を考えると
そうならざるを得なかったとのこと。チラシからの誘導率は大分高かった。
・スペシャリティーズとして特別感を演出
・法人営業を行う。三越の店長が大のエスプレッソ好きでタリーズを社内で広めて
くれたそうです。観光客は一度しか来てくれないかもしてないが、その土地で働く
人はリピートになって何度も来てくれる可能性が高いと。
また、その当時三越は華やかなお店とは正反対にオフィスは小さく暗い地下3階
にあり、ここでも松田さんは、「いい場所は売り場であるべきなのだな」
と感じられたそうです。
・Take Out専門ショップオープン
・夏には透明プラスティックカップを業界で初めて使用
・緑色のストローをアメリカから仕入れて、業界で初めて使用
※タリーズのロゴを入れた透明カップを持って銀座をぶらぶらし、通行人に
アピールしまくっていた松田さん。
ある日あるカップルの女性がじーっと松田さんの持っているカップを見つ
めていた。
「やった!見られている!」と思った松田さんはロゴが見えるようにさらに
カップを強調して見せつける。そこでその女性が放った言葉が松田さんを
驚かせる。
「ねー、あの人スタバ飲んでる。スタバ行こう♪」
そう、松田さんは知らず知らずスタバの宣伝をしていたのでした(笑)
カップもロゴも遠目には同じに見える。
人は細かな違いではなく、雰囲気を見ているのだ。
と松田さんは学ばれ、そしてあのグリーンストローが生まれたのです。
3)大手競合と同じ土俵に上がる
・シアトル系コーヒーという点を強調し、「タリーズってスタバと同じシアトル系
なのね」という意識を持ってもらい、スタバと同じ土俵に上がった。
※この経験が、「新しいマーケットの活性化のためには競合が必要であり
彼らはライバルである同時にフレンドである」という意識につながる。
Eggs `n Thingsに関してインタビューを受ける際には競合もあえておすすめ
しているそうです。
こうやってタリーズ創業時の経験談を聞いていると、松田さんは何か失敗があっても必ずそこから何かを学び、さらにその失敗を大きく上回る成功を実現させています。
転んでもただでは起きない。
必ず何かを掴んで立ち上がる。
そして数年前、松田さんは単身シンガポールに移住し、タリーズアジアを立ち上げます。
現在、シンガポールに5店、韓国に2店を展開しています。
「タリーズはコーヒーを通してホスピタリティを提供している」
ホスピタリティ。
日本語にすると「おもてなしの心」。
これは日本が誇るべき文化であり、そこから色々なビジネスが広がっていくことが考えられる。
シンガポールに住んでいる日本人は、日本のことをとても心配している。
元気がないと。
自分自身も海外から見るととても心配になる。
特に外食産業は苦しんでおり、儲かっている企業は薄利多売の安売りだけ。
こういった外食業界にカンフル剤を打ちたい!
とのことで、Eggs `n Thingsを日本で展開することになった。
当初はハワイのEggs `n Thingsの方から日本で広めてくれとの依頼がきたが、松田さんは「世界に広めさせたい」との話をし、世界展開の了承を得て日本展開となった。
Eggs `n Thingsはパンケーキやオムレツのお店と言われるが違う。
朝食の店だ。
いつの時間でも朝食を提供する朝食のお店であると。
日本は朝食業界がとっても弱い。
マックでさえ朝は一番売上が少ないらしい。
アメリカでは逆で、スタバやタリーズでは7時から9時が最も売上が多い。
ということは日本の朝食の外食文化にはチャンスがある。
そういうわけでEggs `n Thingsの展開に力を注いでらっしゃいます。
その他に心に残った言葉は
「目的と目標を明確に分けて持つ」
ということ。
タリーズ創業時の松田さんにとっては以下のような感じ。
目的:食を通じて文化の架け橋になる
目標:スペシャリティコーヒーショップを300店舗にする
ということは、例えタリーズが300店舗になっても、松田さんの目的はまだ果たせていないということ。
目的とは「遠くにあって、光り続けていて追い求めるもの」である。
ただ、目的がなくとも目標を持って日々暮らしていれば、きっと目的が見えてくる。
これはとっても心に刺さった。。。
また起業に関する話で起業とは「ないものを作るもの」。自分の周りでないもの、自分の街にないもの、自分の国にないもの、この世界にないものを作ることであると。
外国人から見るとそれは何かというと「女性の活用」であるらしい。
確かに日本の女性は教育レベルが高いので企業にとっては大きな資産であると思う。
それから、個人的に思うのは働く女性のための制度が弱いのではと思う。
先日ブログで書いた趙麗華さんのお話によると、中国では多くの女性がビジネスで成功している。どうやって生活を成り立たせているかというと、月1万円くらいでメイドを雇って、生活を支えてもらっているらしい。
これは格差があるからできるのだと趙さんはおっしゃっていました。
またオイシックスの高島宏平さんのお話の中では心に残った言葉は
マッキンゼー時代に「何からやっていいか分からない時に、何からやればいいかが分かるようになった」
知識よりも知恵が大事であるということ。
また、質疑応答の際に出た質問に「大企業の中にはホスピタリティのない企業もある。どうやって変えていったらいいか?」というものがありましたが、それに対して松田さんは「利益を上げるよりも、文化を変えることの方が大変」とおっしゃっていました。
何十年と受け継がれてきた企業文化は確かに変更が難しいでしょうね。
その企業文化が自分に合わないならば、そしてその企業に対してそこまで強い思い入れが無ければ、自分で自分の望む企業文化を持つ企業を作った方がいいかもしれません。
自分の望む人生を歩むために。
素敵な3人から色々と刺激になる言葉を頂けて、とっても刺激的な一日でした!
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