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【読書メモ】「欲望」のマーケティング

美魔女という言葉を流行らせた光文社の山本由樹さんの『「欲望」のマーケティング』が面白かったのでメモっておきます。

内容をざっくり言うと:新しいマーケットを見つけ、ブーム化する方法について

その方法は下の4つ

1.「言えない欲望」を探し出す

2.絞り込む

3.巻き込む

4.揺るがす


順番に見ていくと。。。

1.「言えない欲望」を探し出す

人間を突き動かすのは「欲望」。
その人の本質は欲望を聞き取ると理解できる。
「言えない欲望」にこそ、その人の本当の姿がある。
そして、顕在化されていない個人の欲望がその他大勢の「潜在的な欲望」を代弁するとき、そこには新しいマーケットが生まれる。

45歳以上の女性にとってと言えない欲望は、「ファッションを若くすると顔の老いが逆に悪目立ちするような気がするので、美容にお金をかける。」だった。
45歳以上はファッションより美容というのがビューティ誌創刊のコンセプトになった。


本音を引き出すための関係構築のキーワードは次の3つ。
(1)共感
「うんうん(わかる)」とか「そうそう(絶対そうだよね)」などの魔法の合いの手を入れながら話を聞く。
(2)共有
相手よりも先に聞き手自らが自分の内面を語ると、相手が次に告白しやすい雰囲気をつくれる。
(3)告白
言葉の端々に感じるニュアンスや視線の動きや仕草から相手の「話してもいい」というサインを読み取り、唐突に相手の「告白したいこと」を代弁してしまう。
例えば、「こんなにがんばってキレイになったら、本当はもっと愛されたいよね」とか。
いい話を聞き出すには、「こいつはバカだ」と思われれば勝ち。


2.絞り込む

ターゲットを絞る

もっと売りたいという欲が、ブランディングの一番の敵

「選ばれる商品」ではなく「選ばせる商品」になる。「選ばせる商品」は最終的に価格競争になってしまうから。

「選ばせる商品」は、明確な差別化ができている。

「選ばせる商品」になるには、ターゲットを絞り込み、換えのきかないオンリーワンになるために「空白地帯」を探す。

次に空白地帯のターゲットがどんな特性を持つか知る。

そして、他にはないメッセージを構築する。
メッセージとは新しいライフスタイルの提案かつ、新しい価値観の提示であり、今までの生活にはない、強く輝く何か。
そのメッセージが絞り込んだターゲットに刺さった時に、価値観が揺れ動き新しいライフスタイルが生まれる。

メッセージにおいては、嫌われることを恐れない。無難な表現は何も言っていないことと同じ。賛否の別れる言葉にすること。


感情を絞り込む

人間が他社に抱く感情は下から順番に、「同情→共感→賞賛→嫉妬」の4つのレベルがある。

商品を企画したら宣伝したりする時は、「共感と賞賛」を刺激する。今の時代は共感の方が消費者を説得しやすい。

共感レベルの感情を刺激しながら、なおかつ他の共感商品とはひっきり差別化すること。


共感性で「絞り込む」

口コミを利用する?
誰でも参加できる美魔女コンテストの読者モデルが発信する情報が誌面を通じて読者と共有される。

共感してもらうために、読者モデルは年齢と職業を併記する。

自分と比較して「こんなに年取ってるのにがんばってるのね」などいった、共感のベースになる。

結果的にマスを獲得するのは、絞り込んで個性を出したプロダクト。
ごく一部の熱狂が大衆の熱狂の種火になる。


ディテールで絞り込む

ローライズデニムを40代の女性が履きやすいように、下着やお尻が見えないような着こなしを紹介する。


ライフスタイルで絞り込む

「STORY」は昼の奥さんの雑誌。昼とは妻や母やOLなどの社会的役割を演じている時間のこと。

「美ST」は夜の奥さんの雑誌。夜の時間とは美容や性などの本能を開放する時間。

2冊合わせてひとりの女性になる。

今までにないライフスタイルを生み出せると、ターゲットを絞り込むことができ、これができると新しい市場をつくることに成功できる。


「暴投」によって「絞り込む」

絞り込むためにな暴投くらいがちょうどいい。

消費者はよっぽど先に行っている。だから、私たちは反対に、「自分たちは遅れている」という意識を持つことが重要。


絞り込むためにはウォッチし続ける。

これから新しい市場をつくっていこうとするなら、若い世代がこの社会の中心選手になっていく時、日本人の感性がどう変わっていくかについては、特にシミュレーションを重ねていかなければならない問題です。

私たちは否定ではなく、肯定によって「時代の感性」を理解しなければなりません。なげなら新しいマーケットを切り拓いてゆくためには必須の感性だからです。



3.巻き込む

社会現象化のキーワードは「私のように見たことも食べたことがなくても『塩麹』ブームを『知っている人』がいる」という事実。

顧客にお金を出してもらうには、事前の「認知体験」が大事。
体験には3段階ある。

第一段階
認知(メデイア・口コミでの情報認知体験)

第二段階
接触(情報を基に接触体験、店頭プロモーション)

第三段階
実体験(直接体験)

この認知をどれだけ広げられるかが巻き込むための最大のカギになる。

好嫌とりまぜた様々な反響が、さらにノイズを高めていき、無視できない存在になる。

ノイズが拡散していく過程で「好嫌」とりまぜたレスポンスが本来「オーディエンス」ではない人たちを「巻き込み」ながら「ファン」を増やし、社会現象化していく。
情報から生まれる欲望で囲い込め

人間の行動は次のプロセスを経て決定される。

①「認知」
情報を得ること

②「判断」
得た情報を基にどう行動するか決めること

③「行動」
決定を行動に移すこと

情報がなければ人間は行動できない。情報に飢えている人たちを食いつかせるだけのバリューのある情報を発信することができれば、消費行動へ至るベースをつくり出せる。ベースができてしまえば、社会現象化でき、そこに市場が生まれる。

情報を拡散させて、潜在的な顧客を増やすことが重要。

例えば、ラーメン屋の看板を見ると唾液分泌してしまう。すでに刷り込まれた情報には欲望へのタイムラグがなく直結。
逆に人間はよくわからないものには「欲望」を感じない。

あらかじめ刷り込まれ、記号化された「情報」が「欲望」を喚起するのであって、「欲望」は単体で存在するものではない。
だからこそ、欲望をあおるマーケティングができたなら、そこに新しい市場ができる。

「巻き込む」仕組みをつくる。
「巻き込む」とは「参加させる」こと。

参加するそのイベントには、なぜ存在するのかという社会的な意義が必須。

美魔女コンテストの場合は社会貢献。日本の大人の女性が「もっと胸をはって生きられる、気飾れる、社会に出られる」そして、選ばれた美魔女が注目されるほど社会貢献が大きくなる仕組みがある。

ブームを起こせるブランニューの法則

①雑誌というブランド力と信憑性の高いメデイア…BRAND

②話題性のあるキーワード…NEWS

③リアルのコンテスト…REAL

④ウェブという情報拡散性と相互性の高いメデイア…WEB


⒋揺るがす

新しいマーケットてま消費を発生させるには、ターゲットを「揺るがす」ことがベスト。

揺るがすとは「憧れand遠くない」にする。

理想へ向かうベクトルは、「ああなりたい」
現実から遠ざかるベクトルは、「ああはなりたくない」

ターゲットを「揺るがす何か」の提示によって、現実から理想に向かって加速させるアプローチをしていく。

「なんとなく不満」な状態でいてくれた方が、消費意欲は高じる。

(A)10歳年上の料理研究家の美しさを見て、"こうなりたい"と「揺るがされる」

(B)今日だけ安いという限定感に"買わなきゃ損"と「揺るがされる」

(C)同年代の醜いお腹に"こうはなりたくない"と「揺るがされる」

(D)その人の見事な変身ぶりに"こうなりたい"と「揺るがされる」

「現実」という曖昧な自分の立ち位置は、「他者との比較」からしか実感できない。

リアルすぎる現実は「あきらめ」に直結してしまうので、「なんとなく不満」という状態が消費発生のためにはベスト。

他者による「実例」を知った時に自分の相対的な位置を知り、それによって「揺るがされ」、理想へ向かうベクトルか、現実から遠ざかるベクトルかを選び、加速させる。これが簡単な消費発生のメカニズム。

美魔女がすっぴんで登場し、いけてない素顔に読者がマイナスの共感をすることで、「なんとなく不満」に火が付く。
「美魔女だってすっぴんはひどいもの!私も気を付けなくちゃ!」

美魔女は読者の「リアルな現実」を代弁する存在であり、「手の届く理想」の象徴。

「なんとなく不満」から新しくマーケットを生み出すために一番大事なのは、「なんとなく不満」のディテールを刺激すること。

美魔女って、けっこうブス。
彼女たちの「美しくなる」ための努力は尋常ではない。
でもその全てが「美人じゃなくても美しくなれる」証明でもある。
これにターゲットは「揺るがされる」

「揺るがす」ために必要なのは「実例」と「共有感」と「脅迫感」

「本当はみんな知ってる、やってる」という共有感と、「乗り遅れちゃう」という脅迫感。

結束力の強い「みんな」がつくれれば、そこをコアに消費を発生させ、広く「ファン」全体に広げていくことも可能。

例えば、いまのママチャリがオシャレじゃないことに不満を持った豊洲の奥様達の声を聞いてブリジストンと電動自転車アシストの開発を始めた。

「みんな一緒」を刺激するためには4つの要件を満たす必要がある。

①「みんな」の潜在的な欲望を感じ取れていること

②「みんな」の共感が集まる場があること

③「みんな」を動かす魅力的な商品があること

④「みんな」でなら乗り越えられる「壁」があること

乗り越えたい障壁がある方が、「みんな一緒」の力が発揮される。


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